島には近所の人々との温かい関係性がある。
「今日どうしたの?」みたいな、ご近所の”見守り”がある。さらに、「今日、あの子がこんなことをしていた」という噂もすぐにコミュニティ内をめぐる。自分の子供の情報が外から親に届くこともあるくらいだ。逆に都会では、そういう近しい関係性には関わりたくない人々が多く、隣に住む人すらも無関心である。
島の学校内では、生まれてから一緒の同級生でクラス替えもないし、親もほとんどみんな知っている(直島は転校の出入りは多い傾向)。何かをやっていると誰かに見られるという環境の中で、ある意味でその”見守り”という”監視社会”で逃げ場のない状況を生み出している。(中学生とかのカップルは、別々の時間に船に乗り、外でデートをしてもバレてしまって困るという話も。)それは強い安心にもつながる反面、みんなと同じであることや、そこから外れないように輪を乱さない、という意識を環境が育てる。いや、外で、主張をしないように自分を取り繕うのが上手くなる/慣れてしまう。
そういう環境で長く暮らした場合、広い社会や競争社会に出たときに、協調性はあるが強い意見を言えず、打たれ弱い人間になりがちなのではないか?青年期に小さなコミュニティの「監視社会」が嫌で都会に出た人が結局、都会に合わず帰ってくるケースも珍しくないのではないか?
その辺りを外の人が見ると、”小さな島の温かい関係が恋しくて島に帰った”になってしまうが、それはそうでもあり、もう少し内情は複雑である。
僕も含め、移住者は、都会の冷たい無関心の関係性に疑問を持って、こういう小さなコミュニティの島に引っ越す。でも、7年を越えた今、その小さなコミュニティで子供を育てることが本当に良いのか、疑問も感じているのは事実だ。
でも、引いて考えると、日本自体も島国であり、広い世界から見ると日本もこの直島のような環境であるわけで。僕自身、フランスに1年間住みながら感じた感覚、日本に帰ってきてホッとしたあの感覚…。やはり直島はそれの縮図とも言えるかもしれない。