なぜ直島に住むのか?

直島移住=「子育てや家族の時間」+「(参与観察的)プロジェクトの日常化」
移住4年目。
子育てについては以前に書いたので、今回はもう一つのモチベーションを書いてみる。

僕は近代以降の直島の歩みに大きな興味を持っている(つまり民俗資料の民具の収集には基本興味はない)し、それを調べることにモチベーションを持っている。
もちろん、古い直島を掘り起こしたいのだけれども、現在アートによる観光化がここの風景を日々変化させている今にも同時に興味を持っている。誰も触れてこなかった地層を一枚一枚剥がしながら、この島の何かを調べていくことと、それを視覚化しアーカイブしていくことに興味を持っている。風景の中に眠る情報、そして人の中に眠る情報を掘り当てるのだ。

そんな中で大きな道標なのは道端に打ち捨てられた物たちと、島の老人たちの語り。彼らは島の辞書のような存在であり、彼らからはgoogleでは決して検索できない情報を引き出せる。しかし、銅製錬や観光ビジネスに忙しい島民たちの多くは、誰も彼らに検索ワードを放り込んでないようだ。島のgoogleは検索し放題の状態。しかし、時間がない。
僕がこの島で新しいプロジェクトを行うことに魅力を感じたのは、この島が”アートの島”であるからではなく、この島が前だけ向いて走っていることや、アートが劇的に島の環境を変えている真っ只中にあること。数少ない”後ろ向き”な島民と”後ろ向き”に歩みを進める日々なのだ。この今のビジネス的評価でいえば”後ろ向き”な活動は、遠い未来を向いているし、未来価値を上げていく存在を見ている。ビジネス真っ只中の今のこの島で。

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