ハノイ/地図

シーボルトが日本地図を秘密裏に国外に持ち出そうとしたように、地図はかつて最高級の国家機密だった。地図を作るというのはそう言う事なのだと思う。
石丸元章はかつて『平壌ハイ』でその国の”食こそ国家機密だ”と書いていたいたが、それに激しく同意しつつ、それは横に置いといて、今日は地図について少し書く。

ハノイに来て観光マップを購入して使ってみたが、道の描き方がいい加減で細かく書かれていない。
普通に大通りを観光するだけなら事足りるかもしれないけど、路上の物をマッピングするにはほぼ使えない代物。やはり社会主義国だから、こんなに曖昧なのか。。
こちらの友人に大きな本屋を案内してもらったが同様のモノしかない。それを見ていた怪しげなオヤジが「マップある!来い!」と怪しげな路地の店で骨董系地図を見せてくれたが、やはりない。
国際交流基金の方に聞くもたぶんない。
google mapが一番詳細が載っているみたいだがそれでも不十分。
結局、google mapをモノクロでプリントアウトして10枚くらいをはり合わせて地図をつくる。そして、それを下地に通った道や見つけた道をペンで書いていく。カフェやランドマークや撮影場所。徐々に15日間で自分の見ているこの町が立体的に見えてくる。通っていない道は薄いままだから自分の行動範囲が見えてくる。
前回、αMの個展のときは、バイクで移動しながら、日本地図(道路マップ)の通った道をマジックでラインを入れていって、ガススタの領収書を貼付けていった。
αMの時は展示を行いながら移動をしながらで、展示が終わる時、ギャラリーに帰ってきたから、この地図を見せる事は無かった。
ただ、この地図は重要なリサーチの”知ってく過程”の詰まった存在で、僕の制作スタイルには重要な存在なのだと思う。
こう書くと、GPSでも同じ様な事はできる…とか河原温もそんなことを…という声も聞こえてくるけど、今回の作品制作の場合、それがあまり意味をなさないドライすぎてアート的なポーズにしかならないと思っている。今回一番重要な事は、ハノイでの一度きりの展示。いろんな国の人が同じように感じられる作品もできたらいいんだけど、今回はハノイの人に見てもらえて感じられる展示を行いた
い。
絵画や彫刻や写真プリントのような、モニュメンタルに残る作品を作らない場合。この”地図”は”この町の自分だけの秘密を知り/作る過程”として、展示は消えても、作家として残せる価値のある存在なのかもという話。この展示がハノイの人がもう一度ハノイを感じる何かになればうれしい。

2011-10-17 16:51