2011年の東日本大震災の後、大学に入ってから住み続けた東京を離れた。
それから十年経った。

震災以前に制作していた「戦争のかたち」「Re-Fort Project」「torii」といったシリーズは、普通の日常を撮影しながらも、風景の背後に存在する“ 見えない近代 ”を掘り起こそうとしていた。
ただ、震災や原発事故によって、近代から変わらない“ 歪み” が誰の目にも見える形で露出した。
それ以降、急激に世の中では、社会問題を扱う作家が普通になった。社会問題をメディウムに練りこんでいないと強度が足りないかのように。
逆に僕自身は、それ以降、制作の興味は別の方向へとズレたように思う。
2011年以降に始めた「新しい石器」「bridge」「ははのふた」「14歳」「漂泊之碑」などのシリーズ作品は、歴史的な過去ではなく薄っぺらな日常を扱っている。そして、興味の時間軸は“人の中に眠る原始” へとシフトしている。

今回の都現美の展示は、東日本大震災以前に制作した「戦争のかたち」「Re-Fort Project」「torii」のあとの展開。2011年から2021年までの十年の展開。をしっかりと見せたいと思う。
大きな作品/A面としては「津波石」しか認識されていないだろうが、その隙間で
作っていたB面的な作品をしっかりと見せながら、現在進行形の瀬戸内「 」資料館までをつなぐ。

(誰も書いてくれないだろうから気になった人のために書いておく)